製薬会社MRの宿命〈配属ガチャ〉の光と闇|北海道配属になった私の生活と、希望する配属地に行けなかったときの対処法

私は新卒で製薬会社のMRとなり、現在は北海道で生活をしています。

製薬会社に勤務する以上は全国転勤が前提とされ、「異動」の二文字に怯えながら業務に勤しんでいるMRは少なからず存在すると思います。

 
配属地に関する記事はこちら
今回の記事では、新人MRにとって配属地が大切な要素であると感じた理由をお伝えしていきます。
 
本記事は、2023年5月6日に更新されています。

配属ガチャとは何か?

配属ガチャ」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。

言葉の定義としては次のようなものです。

配属ガチャとは、新卒が配属先を選べず、どんな部署に配属されるのかが分からない状況のことをソーシャルゲームのガチャに例えたものです。

(出典:https://www.shigoto-web.co.jp/tensyoku/archives/haizoku-gacha/)

一般的に配属地を自身の希望で選ぶことができないことを、ゲームのガチャの当たり・ハズレに擬えて揶揄したものです。

ニュースやSNS上で当たり前のように使われる単語となりつつあります。

参照:「同期のSNSみて辞めたくなった」“配属ガチャ”ハズレを引いた新卒女性の末路…配属先を立候補制に?導入進む配属マッチングとは【news23】|TBS NEWS DIG

上に掲載したインタビューでは、製薬会社に勤務する研究職の女性が、配属ガチャで失敗したことを理由に退職するまでの経緯が語られています。

近年では新卒の離職率を下げるために配属地の決定方法を見直す企業も増えてきています。

しかし、規模の大きな会社ほど配属地を入社後に決定する伝統的な方法が根強く残っています。

 
「全国転勤あり」の企業では避けて通れない道だね。

新人MRにとって大きな関心の一つ

募集要項に「全国転勤あり」と記載されていても、希望する勤務地に配属されてたいと願うのは至極当然のことです。

私は当初、以下のように希望勤務地を上司に伝えていました。

(当時の私の希望勤務地)

  1. 東京…学生時代に住み慣れているから
  2. 名古屋…東京に近く規模の大きい都市だから
  3. 大阪…(同上)

私は実家に帰りたいという気持ちはまったくありませんでしたが、同期を見ても「実家の近くに住みたい」と考える方は多いようです。

当時の私の考えとしては、「東京に住み続けたい」という理由が主で他はそれに準じた程度のものでした。

 
東京や大都市で働きたいと考える人も多い印象だね。
結果的に、私が配属されたのは第三希望にも出していない北海道でした。

配属地に対しての上司の考え方

上司は神奈川県出身の方で、最初に配属されたのは熊本県であったと話してくれました。
最初に配属地を聞いたときは、縁もゆかりもない土地で不安に感じたそうです。
 
実家から結構離れた地域への配属だね…
当時は熊本配属に対して否定的でしたが、年齢を重ねてからは「若い間は実家から離れた場所に住んで、両親が健康なときに遊びに来てもらう」と考え方がシフトしたそうです。

両親が健康で身動きの取れる間でないと飛行機や新幹線での長距離移動は難しいので、一理あると感じました。
 
経験者の言葉は重みがあるね。
慣れない土地での不安に押し潰されてしまいそうなときに想いっていた和歌を教えてくれました。
簡単に説明すると、「霜が降りても枯れない竜胆の花」を人の強さと重ね合わせて詠んだ歌です。
竜胆は熊本県の県花で、NHKによって「郷土の花」にも選出されています。
 
花言葉は「勝利」「正義感」だよ!

北海道配属となった筆者の生活

私は東京配属を希望していましたが、蓋を開けてみれば遠く離れた北海道への配属でした。

現在では、北海道に住み始めてから約一年間が経過しました。

 

北海道は旅行でも訪れたことがなかったよ。

一口に北海道と言ってもかなり面積が広いため、私が居住している札幌市に限定して話を進めていきます。

札幌に住んでメリットに感じること

この章では、札幌市に住んでいて感じたメリットを紹介していきます。

①夏場は比較的涼しい

日本の中では高緯度地域に当たるため、夏でも気温が比較的に涼しく過ごしやすい点がよかったです。

上の表は、北海道の主要都市と東京の気候を比較したものです。全土的に年間を通して東京より気温が低いことが分かります。

しかし、北海道でも夏場は最高気温が30℃を超えることは珍しくありません。

また、極端な冬の寒さが平均気温を押し下げていると考えることができるので、期待していたより涼しくはなかったというのが正直な感想です。

 

北海道の夏はかなり短くて、すぐに秋が来るよ〜

②海鮮系の食べ物が安くて美味しい

北海道では海鮮系の食べ物が美味しくかつ安価にいただけます。

体感としては、東京で2,000円しても不思議ではない海鮮丼が、道内では1,000円以内で食べられるといった具合です。

 

(ガーデンハウス まんぷくちらし)

上の写真は余市にあるガーデンハウスで提供されている「まんぷくちらし」です。

 
札幌のおすすめグルメはこちらの記事!

札幌市内に海鮮系のお店は数多く存在しますが、各地域で特徴的な海鮮料理をいただけることも北海道ならではだと感じます。

ただ、私はそこまで食にこだわりがあるわけではないため、海鮮が美味しいという北海道の恩恵を日常的に受けられるのは限られた日のみです。

③世界的に有名なスキー場がある

北海道には世界各地から愛好家が集まるほど有名なスキー場が存在します。

私は群馬家に生まれながらウィンター・スポーツをしたことがありませんでした。

 
Name
群馬県の水上市はスキー場で有名だよ。

北海道に配属されてから、現地でできた友人に誘われて実際にスノーボードを楽しみました。

私はサッポロテイネスキー場ニセコに行きました。

(ニセコHANAZONOから望む羊蹄山)

特に後者のニセコは世界中から人が集まるほど人気で、外国人の姿が多く見られました。

参照:Googleマップ

斜面が急な中上級者向けのコースが特徴的ですが、初心者に適した緩やかなコースも多くありました。

「北海道の富士山」と称される羊蹄山が近くにあり、滑走しながら景色を楽しめます。

 
ウィンター・スポーツ好きな方には天国だね!

札幌に住んでデメリットに感じたこと

先ほどとは反対に、札幌に住んでいて不便だと感じた点について紹介していきます。

①冬の寒さと降雪量が尋常ではない

想像しやすい部分かと思いますが、冬季の降雪量は本州のそれと比較になりません。

降雪量が多いことに付随し、札幌においても日中最高気温が氷点下を下回ることは日常茶飯事です。

寒いことと雪による影響は、特に車で移動する方にとって顕著に牙を剥きます。

屋根がない駐車場に車を保管している場合、15分以上に及ぶ「雪かき」から朝が始まります。

(雪に埋もれた社用車の様子)

一晩で30cm以上積もることは珍しくなく、雪が強い際には数時間 駐車していただけで除雪が必要になります。

また、慣れない雪道を運転する恐怖がストレスで、一年目の冬は大きな事故を起こさなかったことが奇跡のように感じます。

 
運転中にスリップしたり、横転事故を何度も目撃したよ…

②道外に行くためには飛行機が必須

 

北海道から他の都府県に行くためには、新幹線や飛行機での移動が必須です。

移動距離が長く時間が掛かるとともに、交通費の負担が大きいです。

(飛行機の窓から見た羽田空港)

多くの人が帰省する年末年始、GW、お盆は飛行機の運賃が高く設定されているため、早割やセールを使うなどして節約を心掛けています。

 
筆者が帰省するときは、片道30,000円くらい掛かるよ…

私は札幌市に住んでいますが、実家のある前橋市に帰省する際の経路を具体例として見てみましょう。

(札幌市から前橋市までの経路)

  1. 札幌駅 → 千歳空港(約40分)
  2. 千歳空港 → 羽田空港(約1時間20分)
  3. 羽田空港 →  京急線にて品川駅・東京駅(約30分)
  4. 東京駅(新幹線) →  高崎駅(約50分)
  5. 高崎駅(JR線) →  前橋駅(約20分)

移動時間は乗り物に搭乗している時間のため、飛行機の手続きや電車の乗り替えを考慮するとさらに時間が掛かります。

重いスーツケースを持ちながら長時間の移動はかなり疲労するので、実家に帰るのが億劫になってしまいました。

③車がないと市外への移動が不便

札幌市内だけで生活するには困りませんが、郊外に出掛ける際は車がないとかなり不便です。

地下鉄が発達しているとは言え、東京のように「電車でどのにでも行ける」ほど交通網が整備されていません。

(出典:https://uu-hokkaido.jp/access/sapporo.shtml)

地下鉄は雪に影響されないという利点を持ちますが、電車で千歳空港へ行くにはJR線を利用する必要があります。

大雪で電車が止まってしまうことがあるので、冬季の移動は注意しましょう。

参照:【特別番組】そして列車は止まった  ー異例の大規模運休ー  2022年3月26日放送

 
年によって積雪の状況はかなり異なるみたい。

結論、配属ガチャの当たりでもハズレでもない

冒頭で配属ガチャについて触れましたが、その意味で言うと「北海道は当たりでもハズレでもない」というのが私の正直な感想です。

大学時代を過ごした東京に対する思い入れがかなり強いのが大きな理由の一つです。

 
いずれは東京に戻りたいと考えているよ〜
また、個人的にはデメリットの側面を感じる機会が多かったため、手放しに喜べる配属とは言えませんでした。

希望する配属地に行けなかったときの対処法

希望する配属地に行けなかった際の対応として、主に以下の3つが考えられます。

(希望する配属地に行けなかったときの対処法)

  1. 希望に合った転職先を探す
  2. 上司に相談して異動の機会を待つ
  3. 気持ちを切り替えて受け入れる

すぐにでもその土地から抜け出したい場合、転職するより他にありません。

上記の方は、いわゆる僻地配属に耐えられず早期転職をして成功した事例です。

新卒一年目での転職が難しいことはこちらの記事で紹介しましたが、職種を選ばなければ可能ではあります。

 
早期での転職は慎重に検討しよう。
人事異動の行われるタイミングで上司に相談することも手段の一つですが、家庭の特殊な事情でもに限り実現する可能性は低いでしょう。
気持ちを切り替えて受け入れられるに越したことはありませんが、無理をして精神的に病んでしまっては元も子もありません。
 
筆者の同期も田舎は寂しくて退屈だったと話していたよ。
配属がすべてではありませんが、若い方にとって重要な関心の一つであることは間違いありません。
実際、私は東京に住みたい思いが強く公務員試験の勉強を始めました。
たった一度きりの人生、若い期間を無駄にしないために、何が自分に適しているのかよく考えた上で行動していきましょう。
 
最後まで読んでくれてありがとう!